夜空に甘い星が降る
カフェ『ワイルド ストロベリー』
可愛い店名に目がいく。


(あれ?ここの住所って、家から結構近いかも)

「ここは他の店と、写真の雰囲気が違うんだ」


写真は店員さんが、接客している所が写されていた。
男の人がお盆を持ち、コーヒーカップをテーブルに置こうとしている。


お客さんの顔は写らない様に、後ろから撮られている。


目の焦点が男の人に合う。
細身な感じで、背は高そうに見える。


腰に巻いた黒の長いエプロンが、良く似合っていた。
男の人の視線は、お客さんに合わせているようで、腰を屈めやや下を向いている。
柔らかい笑顔だった。


「っ!!?」
男の人の表情を見た瞬間、心臓がドクンと大きな音をたてた。


(なっ?何!?)
写真の男の人から、目が離せないでいる。
目を閉じても、男の人の人の笑顔でいっぱいになった。


食事をしても、お風呂に入っても、その姿が消える事はなかった。


「はぁ……」
写真を見てから、ため息ばかりついている事に気付く。


名前はなんていうんだろう?
どんな声で話すんだろう?
溢れる疑問が、胸をザワつかせる。
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