夜空に甘い星が降る
一通り履歴書に目を通し、マスターは静かに履歴書を置いた。


「ここ数ヶ月で、バイトが次々と辞めていっちゃってね。今回の募集、応募数がかなり多いんだけど、あの写真を載せたのは失敗だったかしら?」


真意が分からず、マスターの言葉を待つ。


「アナタも蒔田くん目当てかしら?」

「まきた…さん?」


マスターはクルリと向きを変え「アナタを案内した彼よ。蒔田凌くん」
レジを打っている彼を見た。


「!!?」
顔が一気に熱くなる。


「面接に来る子達の殆どが、写真の彼目当てなの」


熱くなった顔を手で覆う私を、「その反応は初めてよ!アナタ素直な子なのね」と、マスターが笑う。


「大概の子は、違います!と反論してくるのよね」

「ううっ。動機が不純ですみません」

「そうね。でもアナタ、仕事にも興味を持ってくれたでしょ?」

「えっ…」

「見てれば分かるわ。熱心に蒔田くんを見つめていたけど、彼の仕事にも興味を持った…違う」

「はっ、はい。だけど、どうして…」

「分かるのかって?オカマは結構 人を見てるのよ」
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