サンドリヨンは微笑まない

少し驚いた顔で飯田千穂のマネージャーがあたしを見た。

新人が何口出してるんだって感じか。


「ああいう我が儘許してたら、これからどんどん仕事減りますよ」


お疲れ様でした、さようなら。

そう言って横を通っていく。

「では」と岸田さんのヒールの音が後ろから追いついてくるのが聞こえた。

あたしが一番イライラしているのは、自分に。

あんな、先にこの業界に入った女の「一緒に撮りたくない」なんて我が儘が、あたしの意志無しに通ってしまう。

舐められてるんだ。



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