サンドリヨンは微笑まない


落ち込みながら事務所に帰った。

端っこにパイプ椅子を持ってきて、溜息を吐いていると、近くに人の気配。

岸田さんか、と顔を上げる。


「どうしたの? そんな大きい溜息吐いて」


藤堂さんが居た。話しかけてもらうなんて嬉しすぎる。

立ち上がって返事をする。


「すいません…ちょっと今日の反省を」

「偉いね、歳取ると反省するところも出来なくなっちゃって、嫌ね」

「若いって、良いことばっかりじゃないです」


言ってから気づく。

これじゃあまるで藤堂さんが年老いてるみたいな…!



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