サンドリヨンは微笑まない
最近のあたしの悩みの種。
遼の登場。
「こんにちは遼さん。何かご用ですか」
あくまで事務的に。
「あんた、勉強は。試験は、また留年決定になった?」
「してない、ちゃんと赤点も逃れたよ」
「この暑い中ここまでそれを聞く為に歩いて来たんだけど」
そこまで言われたらこのまま返せない。
扉を開けて入ってもらう。リビングのエアコンを点けていると、遼が持ってきた紙袋がテーブル脇に置かれた。
中身は絵の具。
それを見て、胸がぎゅーっとなる。これは、病気だ。
深く息を吸って吐く。