サンドリヨンは微笑まない
親鳥ってこんな気分だったに違いない。
もう一回! と桜海老を口元へ運ぼうとした、
「見せつけてくれんね、網島」
のを自分の口に入れる。隣でくつくつと笑う遼。
小野寺くんはカウンター席を拭きながらニコニコというかニヤニヤする。伊月さんに報告してやろう。
…いや、その前にあたしのことが伊月さんに報告されそう。
「大学生っすか?」
「一応、一年」
「いーな、俺もさっさと受験終わらせたい」
「この前終わったクセに」
「大学はもう遊び放題じゃないっすか」
男同士ってなんか良い。
すぐに意気投合するし、根本みたいなのが似てるのかな。