サンドリヨンは微笑まない

日付を見る。ちょうどお盆で、しかも早めに仕事が終わる日だ。

家から見えるかな。あ、近くの陸橋からならよく見えるかも。

『夜、絶対一人で歩いちゃだめ。何か用事があるなら誰かと行くこと。私を呼んでも良いから』

突然、岸田さんの声が響く。

そうだ…、遼と会ったときの話をした時も怒られた。


「伊月さんと小野寺くん誘ってみよう」

「行くか? 一緒に」

「もうあたし高校生ですけど」

「じゃなくて二人で」


熱い日差しを避けるみたいに屋根の下へ逃げていた遼を見上げる。

二人で?

意味は分かるんだけど、勘違いだったらそれはそれで悲しくて。

傷つく。



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