サンドリヨンは微笑まない
アナタは待ってない
よし、張り切っていこー。
パチンと自分の両頬を叩く。
「気合い入ってるね?」
岸田さんに笑われた。
「はい」
「え、次は緊張?」
「緊張はしてないですよ」
首を振る。多分、岸田さんの言ってるのは今日の撮影に関してで。
あたしが思うのは今日の撮影が終わってからのことで。
終わったら少し時間あるし、家帰ってシャワー浴びて着替えてメイクして…それからそれから、と考える。
「着いたよ、大丈夫? 暑くない?」
「大丈夫。ありがとうございます」
今日は真夏日。
こんな日に、冬物の服の撮影だ。