サンドリヨンは微笑まない
手は離さなかった。
驚いたような、困ったような顔をした遼は、前を向いてしまった。
それから普通に話した。
「そういえば、夏休みの課題が…」
「休み明けに小テストあるって言ってなかったか?」
「初耳…!」
また試験…。あたしからやる気が消えていく。
あーあ、勉強やだなー…。
「遼、あたしの代わりにテスト受けて」
「絶対やだね」
「そういえば、去年まで遼も高校生だったんだ。考えたら同じ時期に学校居たんだ」
もしかしたら廊下ですれ違ってたかも、なんて思ってもないことを言った。
それは有り得ない。