サンドリヨンは微笑まない
きゃっきゃっと喜ぶお母さんの声。
それを聞くといつも嬉しい。
「やってるよ。マネージャーだった岸田さんて、わかる? うちの事務所に来て、またマネージャーやってくれてるの」
『あら、わざわざ前の事務所辞めて?』
「ううん、前の事務所潰れちゃったんだって」
何かで大きくは取りあげられなかったけれど、芦花ちゃんが言うには結構有名らしい。
あたしの耳に入ってこなかったのは、試験勉強していたのを気遣って、平井さんが黙っていてくれたのかもしれない。
本当にあたしはあの人に頭が上がらない。
それから現在状況を言って、電話を切る。
あ、またお姉ちゃんの話無かった。