サンドリヨンは微笑まない
物心ついた時にはお父さんが働いていたし、お父さんが蒸発してからはお姉ちゃんが働いていた。
だから中学とか高校とか大学とか、どの学校で教えていたのかは分からない。
すごく驚いたらしい遼。そして、納得したように頷いた。
「だから匂いも大丈夫だったのか」
「うん。シンナーの匂いとかも平気」
「そうなのか…あ、でも俺は油絵は専門外。あれは友達の、置かせてやってただけ」
あーそういうこと。
それと、今のうちに言っておこうと思ったこと。
「そういえば、いつか遼の家に泊まらせてくれたでしょう? その時に、のぞみさん描いたスケッチ、見た」