サンドリヨンは微笑まない
女は奢りに弱いのです。
後から岸田さんが来て、中に入る。
「遼くん、ひさしぶり。ホタルがお世話になってます」
「こちらこそ、今日は呼んでもらってありがとうございます」
「良いの良いの、今日は社長の奢りだから」
「その平井さんはどこに…?」
後から来るって、と藤堂さんが言った。
若い店員さんが個室に通してくれる。
藤堂さんと遼の間に座っていると、斜め前に座った岸田さんが言った。
「ホタル、今度から絶対に帽子かマスクね」
「はーい」
それから藤堂さんがあたし越しに遼を見る。