サンドリヨンは微笑まない
ついに隣の藤堂さんが寝落ちた。
岸田さんがつんつんしても、あたしが揺さぶっても起きない。
「まあ、疲れてんだろうから。寝かせときなよ」
平井さんの一言で、放置が決定した。
あたしは食後のデザートのりんごアイスを掬う。
「藤堂さんって、今騒がれてますよね」
「そうそう、軽率な態度って駄目だよね本当」
胸にグサッとくる言葉。
遼も苦笑いしながら冷たいお茶を飲む。
平井さんは続けた。
「この人、母親の代に事務所にいたんだよ。潰れて、他のとこに移って、また帰ってきてくれたんだけど」