サンドリヨンは微笑まない
あはは、と二人とも笑ってるのにオーラが黒い。どす黒いなんて可愛い表現。
あたしの話なんだけど、関係ない顔しておこう。
そこで隣の藤堂さんがバッと顔をあげた。他の四人が注目する。
「あたしのアイスは!?」
岸田さんの空になった皿を見て、叫ぶ。
すごい、スポットライトが当たるような動き。
「レモンとリンゴとオレンジの中で」
「オレンジ」
流石マネージャー、というような機敏な動き。
岸田さんはすぐに店員さんを呼んでアイスを注文した。
「…うん? どしたのホタルちゃん」
「なんでもない、です」
首を振る。狸寝入りではなかったらしい。