サンドリヨンは微笑まない
事務所から電車で来たらしい秘書の人はぶつぶつ言いながらも平井さんのキーを貰う。
もう一人の人は岸田さんと一緒に藤堂さんを運んでいる。
「ホタルちゃんたちも乗ってかない?」
秘書の人が振り向いて言ってくれる。でも、あたしは首を振った。遼にも視線が向いたけれど、「大丈夫です」と返事。
「じゃあまたね。ハルカくん、ホタルちゃん」
「御馳走様です」
平井さんと岸田さんの車を見送って、駅の方へ向かう。
あたしはファッションショーの出演決定に浸っていた。
でも、反面、色んなことが上手く行き過ぎていて、怖い。