サンドリヨンは微笑まない
同時にCMも切り替わって、歩き出す。
「わたしもあのホタルちゃんの着てるワンピース買おっかな」
「見せたい人いんのー?」
「それはひみつー!」
前から聞こえる声に少し笑う。
あんた、一回としてデートの待ち合わせ場所で先に待ってたこと無かったよな。
明け方まで降っていた雨が止んで、雲の隙間から光が差している。
深く深呼吸をすると少し冷たい空気が肺を占めた。
「遼!」
ハルカ、と名前を呼ばれた方向を見た。
ゴメンナサイ、前言撤回だ。
あんたは待ち合わせ場所でこちらに手を振っている。