サンドリヨンは微笑まない

同時にCMも切り替わって、歩き出す。


「わたしもあのホタルちゃんの着てるワンピース買おっかな」

「見せたい人いんのー?」

「それはひみつー!」


前から聞こえる声に少し笑う。

あんた、一回としてデートの待ち合わせ場所で先に待ってたこと無かったよな。


明け方まで降っていた雨が止んで、雲の隙間から光が差している。


深く深呼吸をすると少し冷たい空気が肺を占めた。


「遼!」


ハルカ、と名前を呼ばれた方向を見た。

ゴメンナサイ、前言撤回だ。

あんたは待ち合わせ場所でこちらに手を振っている。




< 2 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop