サンドリヨンは微笑まない
どこかのホテルの前で、肩を並べた藤堂さんと俳優。不思議なアングルから撮られていて、これがパパラッチかと思う。
怖い。
みんなと同じ人間なんだから、モデルだって女優だって社長だってご飯も食べれば恋もする。
それが誌面に取り上げられる、なんて。
「欲しいもん、あった?」
隣で遼の声がして、雑誌を閉じた。ううん、と言って、出口に向かう背中を追い掛ける。
その手にはパックのお茶。
もしも、の話。
あたしと遼のことが、週刊誌に取り上げられたら。