サンドリヨンは微笑まない
それにあんまり女優には興味ない、と付け足した遼。
それは遠回しにあたしに興味ないって言ってるのかな。でも、一応あたしはモデルなんだけどな。
「あたしは仕事辞める覚悟あるよ、そのくらい本気だもん…なんて、」
軽い気持ちで言った言葉だった。また遼は呆れるんだろう、と思って見上げる。
あたしも女としては背の高い方だけど、遼も充分高い。
そして、呆れた顔じゃなかった。
「俺はそんな本気要らない」
あ、また。
ぎゅっと心臓が捕まれた感じ。
あたしの家の前。ここまで遼は送ってくれたんだ。
でも、初めてかもしれない。
遼が何も言わずに行ってしまった。