サンドリヨンは微笑まない
キョリは測れない
文化祭が始まった。
当日の朝までにちゃんと花も作り終わって、出来上がった門の装飾を見上げる。
そして嬉しいことに、伊月さんが退院した。
「帰ろっかなー。今日することないし」
「え、帰るの?」
「多分最後に点呼あると思うけど」
まじで? 小野寺くんが嫌そうな顔をする。
意外だ。小野寺くんてお祭り大好きなイメージというか雰囲気があるのに。
「いや、回んのはいいんだよ。楽しいし友達いるけど、先輩がさー」
「ああ、部活勧誘してきた?」
「そうそれ。会うと面倒くさいじゃん。教室にはそう簡単に入れないけど、今日は逃げる場所ないし」