サンドリヨンは微笑まない
あたしの頬を刺していた指を隣へ向ける。
「ハルカ君、見たところ大学生っぽいね」
「一応今年一年です」
「はーい、ホタルちゃんの先生決定」
え、と眉を寄せるあたし。
「俺が?」
「なんだったら給料出すよ」
「いや、それは良いです。なんかこの人世の中舐め腐ってるみたいなんで、基礎から叩き直したいと思ったので」
「す、スパルタ反対!」
「あ?」
笑顔を初めて見たはずなんだけど、怖い怖い怖い。
岸田さんは諦めたように明後日の方向を見ている。先輩後輩の下剋上は無いらしい。