サンドリヨンは微笑まない
あっさりと出たのぞみさんからの言葉に、あたしは危うく階段を踏み外す所だった。
彼氏いるのに、勇気あるなあ。
でも、そんなだからこそ、遼はこの人のこと好きになったんだろうな。
「あたしは、好きじゃないです」
あたしも、それを口にするには勇気が要った。
「そうなの?」
「フられてるんですけど。人として尊敬してるんだってことに最近気付きました」
目を丸くするのぞみさんに、笑いかける。
綺麗に笑えていますように。