サンドリヨンは微笑まない
のぞみさんの応援はしないけれど、遼の応援ならいくらでもしたい。
そう思えた自分が前より成長した気がして、一人で嬉しくなる。
「今の彼とちゃんと話して、遼に気持ち伝えてみようと思って」
「はい」
「ホタルちゃんが好きだったら抜け駆けするみたいで嫌でね。ちょっと話してみようかなって思ったの」
あたしが、今のあたしで良かった。
辛いことも嫌なことも経験したあたしで良かった。
「のぞみさん」
「どうしたの?」
「あたし、向こうなんで。さよなら」
バイバイ、と手を振る彼女に手を振り返すことは出来なかった。