サンドリヨンは微笑まない
あんな、幸福しか知らない人に勝てる自信なんてない。
一度遼をフって、大堀さんと付き合っているというのに、罪悪感が無いんだ。
話せば分かるわけないでしょう?
何人傷付ければ気が済むの?
言ってしまうのは、簡単。
でも、他人のあたしには関係のない話。
それが、あたしの出した答え。
「落ち着いた?」
「うん」
「眠らないでよね、子供じゃないんだから」
はーい、と間延びした返事をして伊月さんから離れる。
靴箱の真ん中で抱き付いてしまったらしい。
うわあ…目立っただろうな。