サンドリヨンは微笑まない
素早いあたしの気遣いも虚しく、その手が掴まれた。
あ、これ台拭きだった!
自分の手に掴んでいたものをちゃんと見て、ハッとする。
「あんた、何がしたいの?」
「今のは本当に転んで…」
「そうじゃなくて。また勉強しに来なくなったり、文化祭の時もメールしたのに返さねーし。挙げ句の果てにはのぞみの背中も押して貰ったみたいで?」
真っ正面から言われる。返せる言葉が見つからない。
のぞみさん…あたしのことまで喋ったな…!
他人に怒りを向けるのは見当違いだっていうのは分かるけれど。