サンドリヨンは微笑まない
「あたしより細い人なんて沢山いるよ」
「まあそういう世界に居ればな」
「もう離して」
平然を装って言うと、遼は素直に従った。
あたしは台拭きをシンクに掛け直して、持っていた皿はどこに消えたんだろうと見回す。
「うわああ」
嘆きの声をあげると、びくりとされた。
「わ、」
「真っ二つって…これしか丁度良いお皿ないのに…」
「今度なんか買ってくるから。触んな、怪我する」
「本当?」
「本当」
破片が取り上げられた。手際良くビニール袋の中へ入れられて行く。