サンドリヨンは微笑まない
長年愛用したお皿よさよなら…。
悲しい別れをしてから、キッチンから出るとチャイムが鳴った。扉を開けると岸田さんがいて、午前中に見た顔と同じ顔をしていた。
「ホタル、起きて大丈夫なの?」
「あ、はい。治ったのかな?」
「本当に心臓に悪い…兎に角これちゃんと飲んで。あ、遼くんありがとうね」
いーえ、とあたしの後ろにいた遼が返す。
「…なにかあったの?」
鋭い岸田さんの質問に、バカなあたし目を泳がせた。
代わりに遼が答える。
「螢が転んでお気に入りらしい皿を割りました」
「え? 怪我は?」
「皿が重症です」