サンドリヨンは微笑まない
ビニール袋を上げる遼。
「螢と遼くんは? 遼くんだって指使うんだから気を付けないと」
あたしと遼の手を取って見る岸田さん。
そうだった、遼は手を使って描く。やるって言われて、簡単に任せてしまった。
「大丈夫です」
「良かった、来てくれてありがとうね。螢も」
「来てくれてありがとうございました」
ぺこりと頭を下げる。言わされた感じに。
「ん、じゃあ今日はこれで。大学の文化祭も近いんで」
「本当に忙しいところにごめんね」
「俺が勝手に行ったんで、気にしないでください」
玄関に置いてあった自分の荷物と割れた皿も持っていってくれた。