サンドリヨンは微笑まない

なんでここに、とか。
なにやってるのか、とか。

頭の中で駆け巡る言葉とは裏腹に、足が一歩ひいた。


「何か用かな?」


のぞみさんが牽制するように言ってくる。

あたしは遼のことを好きじゃないって言ったのに、端からこの人はそんなの信じていないんだ。

だから、遼に近付いてくる女はそうやって払っていたのかもしれない。


「おい、勝手に出んな」

「遼、ホタルちゃんが来たよ? 何か約束あったの?」


奥から遼が来た。あたしの姿を見て、のぞみさんを押しのけてこっちに近づく。


< 276 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop