サンドリヨンは微笑まない
なんでここに、とか。
なにやってるのか、とか。
頭の中で駆け巡る言葉とは裏腹に、足が一歩ひいた。
「何か用かな?」
のぞみさんが牽制するように言ってくる。
あたしは遼のことを好きじゃないって言ったのに、端からこの人はそんなの信じていないんだ。
だから、遼に近付いてくる女はそうやって払っていたのかもしれない。
「おい、勝手に出んな」
「遼、ホタルちゃんが来たよ? 何か約束あったの?」
奥から遼が来た。あたしの姿を見て、のぞみさんを押しのけてこっちに近づく。