サンドリヨンは微笑まない
むくり、と半分夢の世界へ足を浸からせていた伊月さんが頬杖をつく。
「網島さん、言いたいことは分かるけど黙っておいてあげて」
「だよね? サンタさんに信教なんて関係ないよね?」
「小野寺の家は昔からそう言ってプレゼントなしなの」
複雑な家庭の事情というものですね…。
二人でこそこそ話しているから、小野寺くんは更に怪しむ。
「網島の家はプレゼント来んの?」
「昔は来てたけど、今は来ないよ」
「無信教も大変だな」
「あ、」
伊月さんが声を上げる。
視線の先は窓の外で、何かと思えば雨が降ってきていた。