サンドリヨンは微笑まない

それにつられるように中に入った。


「お邪魔します」


靴を揃えて中に入った。あ、鍵。鍵を閉めて鞄を置く。

本音を言うと兎に角これが重かった。

それを半分引きずりながら廊下を歩く。キッチンの換気扇もまわしていた遼がこっちを見た。


「あ、勝手にごめん」

「いや、鼻大丈夫?」

「遼が思ってるほど酷くない」


部屋を見回したけれど、絵らしきものは見えない。それにしても電気も点いている快適な部屋。


「趣味?」

「いや、美術専攻」

「美術の先生になるの?」

「希望は」


すごい。と呟く声は遼に届かなくて良い。




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