サンドリヨンは微笑まない
「寒い」
あたしが避けていたのは、確かに否めない。
「学校から何時間かけて帰ってきてんの?」
実際、メールも全部無視したし。
「…なにやってんの?」
「遼うるさい。手が悴んでちゃんと鍵はいらないの!」
ガチャガチャと鍵とドアノブが喧嘩する。
遼があたしの手ごと持って、すんなり鍵を開けた。
「静電気、か」
取られた鍵にぶら下がるのは、静電気防止グッズ。昔の男に貰ったもの。
あたしが扉を開けて遼を通す。
そういえば、一体何をしに来たんだろう。