サンドリヨンは微笑まない
靴を揃えて上がった遼は、思い出したように紙袋をこっちへ差し出す。
「実家からきたやつ。お裾分け」
「ありがとう」
「紅茶。って言ってもティーバッグじゃなくて葉の方」
「え、すごい。飲みたい、あ! うちにあるの急須だ…」
でもティーポットと同じ様な構造をしているから大丈夫なんじゃないかな。
キッチンに行って、実家からひとつ貰ってきた急須を出す。こんな時に使う機会がくるとは。
「…急須で?」
「うん、やってみる」
「やるから、座って」
コンロの上に上がりっぱなしのやかんに水をいれて火をつける遼。