サンドリヨンは微笑まない

え? と聞き返す。


「今なんか言いました?」

「いいえ、はい紅茶。アールグレイ」

「ありがと」


マグカップを持つ。
良い香りだ。

…これは流されてるんじゃないの?

ごくりと一口飲んで息を吐く。


「……これ、届けに来てくれたの?」

「いや、これは口実」

「うん?」


首を傾げる。一緒に二の腕を掴まれて、床から離された。

急に何なのか、と構えるとソファーに座らせられた。

隣に遼も座って、いつもとは違う目線。

思えば、遼と並んで歩いたことはあっても座ったことはなかった。


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