サンドリヨンは微笑まない

ハッと我に返る。
熱くなりすぎた。


「…ごめん」

「いや、その、前置きが長かった。ごめん」

「前置き?」

「俺、あんたのこと好きなんだ」


…うん?

目を逸らす。何の罰ゲームだ。


「あたし、遼のこと嫌いだもん」


口から出る言葉が捕まらなくて、逃げる。

でも、だめ。

あたしは遼を受け入れない。

そっちの方が、良いの。

繋がれた手が熱い。どちらの温度か分からない。


「あのずっと待ってるって言ったやつは?」


さして怒っていないような声で、遼が聞く。



< 305 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop