サンドリヨンは微笑まない
赤ペンで何かを書き込んでいく遼。
その横顔を見ながら、膝を抱く。
「あんたの親、何も言わねーの? 留年したこと」
「この前事務所のことと一緒に伝えたら、知ってたって言われただけ」
「嗚呼、分かった。あんたのその学校に対する舐めた態度」
「うん?」
書き終わったみたいで、目がこちらを向く。
最初に向けられたあの冷たい目じゃない。
あれも感じ方ひとつの問題だったのかもしれないけれど。
「周りの大人が何も言ってこなかったからだ。この前のマネージャーも黙認って感じのところだろう?」
仰る通り。