サンドリヨンは微笑まない

赤ペンで何かを書き込んでいく遼。

その横顔を見ながら、膝を抱く。


「あんたの親、何も言わねーの? 留年したこと」

「この前事務所のことと一緒に伝えたら、知ってたって言われただけ」

「嗚呼、分かった。あんたのその学校に対する舐めた態度」

「うん?」


書き終わったみたいで、目がこちらを向く。

最初に向けられたあの冷たい目じゃない。

あれも感じ方ひとつの問題だったのかもしれないけれど。


「周りの大人が何も言ってこなかったからだ。この前のマネージャーも黙認って感じのところだろう?」


仰る通り。



< 31 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop