サンドリヨンは微笑まない
もしかしたら遼もそんな気分なのかな、と隣を盗み見る。
「寒い」
…あたしはホッカイロ代わりらしい。
「遼って寒いの苦手なんだ。猫みたいだね」
「あんたがガリ子だからあっためてやってんの」
「ガリ子って…!」
今まで言われたことない。酷すぎるその言葉に、首を絞めようと遼のマフラーを掴んだ。
「おいやめ、」
「雪辱を果たす時…!」
「あんたこそ間違い認めろよな」
手袋も何もしていないあたしの手首に遼が触れる。
熱いくらいの温度。どこか緊張しているような感覚が伝わる。
あたしはそれにどうしようもなく、切なくなった。