サンドリヨンは微笑まない


「そういうの感じる度、あたしは何も出来ないのに申し訳ないなって思います」


「何も出来なくないでしょう。本当にカメラの前以外では謙虚ってゆーか、自信ないってゆーか」

「そうですかね」

「だから遼くんも告白してくれたんでしょう?」


…そうでした。
さっきの急停止であたしの方が忘れていた。

幸い後ろに車はなくて、再出発。


「…このこと、平井さんに、」

「私からは言わないけど、どうするの? 付き合うの?」

「…ふりました」


岸田さんは言葉を失った、という顔。でもちゃんと前を向いて安全運転。



< 321 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop