サンドリヨンは微笑まない
そう言うと笑われた。
「あんたに言われたらお終いだな」
失礼極まりない。
キッチンに向かった遼を追いかける。
「家族が、」
「家族が?」
「さっき来て、絡み酒してきてたから疲れただけ」
「え、じゃあ家帰った方が良いんじゃない?」
鍋に水を入れて火にかける。
「あんたはあの酔っ払いの元に俺を放り込みたいのか…」
暗い表情で遠くを見ている遼。
決してそういうわけではなくて。
シンクに手をついて訴える。
「だって大晦日だよ? あたしなんてただの他人だよ?」