サンドリヨンは微笑まない

刻まれた人参を飲み込んで、言う。


「ごめん、それ嘘」


見栄というか、理想を語っただけ。

付け加えると、遼は特に表情を変えなかった。


「じゃあ早速現実にしよう」

「うん?」

「俺は白に賭ける。あんたは?」

「え! あたしも白」

「それじゃ賭けになんないだろ」


呆れた顔。それから、テレビでちょうど曲が流れ始めた。

なんで? って、追求されなくて良かったと思う自分がいる。

結局、紅が勝って、二人で皿洗いをした。


「遼」

「ん?」

「遼とのぞみさんてどっちが告白したの?」



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