サンドリヨンは微笑まない

リビングに放置された電子辞書で調べる。

あってもないもののように軽んじること…?


「あたし蔑ろにされてたの!?」


驚きに時間差が生じた。

唖然としていると、テレビのチャンネルがまわされたのが分かる。

遼は何もないみたいに除夜の鐘を見ていた。

今も蔑ろにされてる…?


「ねえ遼」


隣に座って聞く。

こっちを向いた遼と目が合った瞬間。


『───明けましておめでとうございます』


テレビのアナウンサーの女性が言った。


「明けましておめでとうございます」

「こちらこそ」

「皿洗い終わって良かったね」


確かに、と遼が呟いた。



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