サンドリヨンは微笑まない
思えば初めて三人で並んで帰るなあ。
殆ど同じ身長の壁の出来上がり。
「あの生徒に告られても相手の名前を言わない網島がアッサリと…!」
「それは相手の名前を知らないからで」
「じゃあ付き合ってるの?」
「ううん、キライって言っといた」
こんな会話を岸田さんにもしたなあ。
そして、二人とも距離が近い。
寒いからまだ許せるけれど、壁が団子になりつつある。
「嫌いになったの?」
伊月さんが心配げに眉を顰めた。
「んとねー…色々考えたら、迷惑かけちゃうから。仕事上」
そう返すと、伊月さんがにやりと笑った。