サンドリヨンは微笑まない
「本当に好物なのか。食べてけ食べてけ」
「何ヶ月ぶりかの好物」
「自分で作らねえの?」
立ち上がった遼は赤ペンを元の場所に戻して聞く。
「だって料理出来ない」
「…螢サン、夕飯作るの手伝わないと食べさせないから」
「そんな条件つき?」
「そうだった、あんた生活能力なかったんだ…」
忘れてた…という声も聞こえてますからね遼サン。
唇を尖らせながらあたしも立ち上がって、キッチンへ着いていく。
生活感のあるそこは、何だか実家を思い出させる。
「一番下の棚から鍋取って」
しゃがんで棚を開ける。鍋を取って渡した。