サンドリヨンは微笑まない

どこかその顔が芦花ちゃんに似ていて、言葉を待つ。


「じゃあその人に言ってみれば? 網島さんが言われて傷ついたこと全部」


悪人の顔だ。
ただの悪人じゃない。極悪人。

小野寺くんは完全に引いていて、話に加わる気は無くなったみたい。


「流石にそれは…」

「でも、網島さんは諦めなかったでしょう?」


言われると納得してしまう。でも、そんな風に試すみたいな…。


「伊月性格悪いから、気にしなくていーぜ」

「あ、うん」


小野寺くんはこっそり言った。その声が伊月さんに届いたかどうかは兎も角、あたし達は駅で別れた。



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