サンドリヨンは微笑まない
ホームの階段を下りていくと、改札前に立っていた人と目が合った。
噂をすれば…!
あたしは知らん顔をしようかと思ったけれど、文化祭のことを思い出して静かに遼の方へ歩いた。
もう走るのは御免だ。
「…待ってたの?」
「そんなストーカーみたいなことしねーし、暇じゃない」
「ですよねー」
「同じような制服が下りてきたから、あんたいないかなって探したら本当に居た」
本当に居たって。あたしは幽霊ですか。
「今年早々運がついてる」
ちょっと照れくさそうに笑う顔。