サンドリヨンは微笑まない
本当に、本当にずるい。
「遼って分かんない」
一応駅から同じ方向に家があるので並んで歩く。
大学の帰りらしい。
「なにが」
「あたしってバカだよ? ご飯も碌に作れないし、背ばっか高いし、すぐに一喜一憂するし、友達少ないし」
ザッと欠点を並べ上げる。
言えば言うほど出てくるんだから仕方がない。
「やめた方が良いよ。あたしの一体どこが良いの?」
遠回しに伊月さんに言われたことをしてみた。
半分、本心で。
「あんたの今あげたところ、全部」
真面目な声で答えられてしまった。