サンドリヨンは微笑まない

未だ考えた表情の遼。あたしも梟みたいなそれを真似してみた。


「のぞみさんのことなんて、あたしを利用してさっさと諦められたかもしれないのに。断っちゃうし、遼は人より自分に優しくないよね」


ふふ、と笑う。

きょとんとした遼の顔が好き。


「だからあたしが優しくしようって思ったの」


上から目線ですが。

アスファルトの地面に、白いモノが落ちてきた。

空を見上げる。雪だ。


「過去形か」


遼はどこか寂しそうに言った言葉はあたしには届かなくて。

あたしは、雪って美味しいかなー、と小学生のように口を開けて空を見ていた。




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