サンドリヨンは微笑まない
遼がパスタを作ってくれるらしくて、あたしは隣でサラダ係に任命された。
レタスを千切っていると、小窓から夕陽のオレンジが差しているのに気づく。
「よく親が一人暮らし許したね」
「許されたというより、半分追い出されたのかな」
「何だそれ。父親に?」
次はトマトだ。包丁をがっちり掴んで切ろうとするけれど、上手く刃が入らない。
「父親蒸発しちゃって居ないんだ。うちの大黒柱はお姉ちゃんなの」
「へえ…」
見かねた遼が包丁を代わってくれた。
思えばお姉ちゃんと一緒にお母さんを手伝った記憶もないような。