サンドリヨンは微笑まない
岸田さんの声に耳を貸さないで、精神を落ちつけていると扉の先にランウェイが見えた。
キャットウォークとも言われるそれの上を歩ける人になりたかった。
あんなにオーディションを受けては落ちしていたあたしが、こんな道を歩いていくなんて去年のあたしには想像もつかなかった。
それは、岸田さんもかもしれない。
「もしかして緊張してるの?」
とんとんと肩を叩かれた。久しぶりに藤堂さんの姿を見た気がして、その分同じ事務所の人だ…! とほっとした。
「藤堂さん…!」
「こらこら、メイクとれちゃうよ?」