サンドリヨンは微笑まない
包丁を華麗に引きながらトマトを切っていく。そうやって切れば潰れないのか。
「彼女いる?」
「いる」
「は?」
思わず目を見張る。
え、彼女がいるのに簡単に女を部屋に招いて夕飯を食べるのかこの男は。
「嘘、この前別れた」
「…それはそれは大変遺憾でしたね」
「流石に彼女いてあんた呼ぶのはあり得ないだろ。それよりその言葉の使い方あってんの」
「分かんない」
それを盛り付けて、サラダが出来上がる。
明太子パスタは既に出来あがっていた。サラダ待ちだったらしい。