サンドリヨンは微笑まない

こんなことなら、ちゃんと喧嘩の練習でもしておくべきだった。

あたしはいつだって、嫌なことからは逃げて。


「失せろ」


渦見の声が耳に入った。

本当にね。
失せられるのなら、遼にチョコレートを勧められる前に、失せたかった。


意識をなくす前に見えたのは、星空。

あの街では見えないものが今見えてしまうなんて、皮肉だ。




< 384 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop